エンジニアが働きたい環境を作るブルーモ証券CTOの挑戦

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氏名 小林悟史
肩書 ブルーモ証券株式会社 取締役CTO
出生 1983年
略歴 新卒からフリーランスエンジニアとして活躍し、Fintechベンチャーでは役員として複数金融システムの立ち上げをリード。個人プロジェクトとして政治資金データベースを開発・公開|東大情報理工修士 / IPA未踏クリエーター
趣味 旅行、楽器、運動、政治資金データベース。
特技 当たりの飲食店を見つけること。

—【編集部】これまでどんな事をされてきましたでしょうか。

—【小林】 少し経緯をお話ししますと、実は東大の大学院修士を取るのに2年半かかりました。本来は2年で取れる予定だったのですが、少し遅れてしまったため、当初内定をもらっていた野村総研に入社できなくなり、再び就職活動をすることになりました。

再就職活動では、1回目は大企業を中心に見ていたので、2回目はベンチャー企業を中心に見ることにしました。東大や早稲田や慶應の学生向けにベンチャー企業を紹介してくれるメディアを通じて、いくつかのスタートアップを知り、スタートアップの世界に興味を持ちました。当時のスタートアップはまだ発展途上で、システムやエンジニアの待遇もそれほど良くなかったのですが、逆にそれが自分でもできると感じさせるものでした。

もう一つの大きなきっかけは、2009年に未踏事業に採択されたことです。これは経済産業省が所管するIPA(情報処理推進機構)が主催する人材発掘プロジェクトで私はその年に採択され、プロジェクトに参加しました。プロジェクトで得られる資金が新卒の初任給と同程度だったため、それなら就職せずにフリーランスとして活動してもいいのではないかと思い、フリーランスエンジニアとしての道を選びました。

その後、6年ほどフリーランスエンジニアとして様々な案件を手がけた後に大学院の同級生がエメラダを創業し、その直後に声をかけてもらいました。仲の良い友人だったので、一緒に何かをやることに魅力を感じ、業務委託として手伝い始めました。ちょうどフリーランスとして一人でやれる範囲の限界を感じ始めていたころだったので、優秀なメンバーと共に大きなことを成し遂げたいと思うようになり、正式に社員として参加することにしました。

エメラダでは主に三つのプロジェクトに取り組みました。一つ目は「エメラ・エクイティ」という株式投資型クラウドファンディングのサービスです。このサービスを提供するためには証券業のライセンスが必要で、その取得を経験したことが今に活きています。

二つ目は「エメラダ・バンク」というオンラインレンディングのサービスです。これは銀行での対面融資をオンラインで実行するもので、当時、私たちが融資を実行するサービスでした。

三つ目は「エメラダ・マーケットプレイス」です。現在では名前が変わっているようですが、2019年にリリースしました。これは電子決済等代行業のライセンスを取得し、法人版の家計簿のようなサービスを提供するものでした。

この三つのプロジェクトを進める中で、私の大学院の同級生であり創業メンバーの一人が最終的に会社を去ることになりました。私も迷いましたが、自分が選んだ船だと思い、残ることに決めました。最終的に、エメラダ・バンクとエメラダ・マーケットプレイスの開発をリードし、執行役員に就任しました。

—【編集部】現在の会社を入社した経緯をお聞かせください。

経緯としては、フリーランスとして新しいプロジェクトを探していた時に、たまたまTwitter(現:X)で中村からメッセージが来たことがきっかけです。エンジニアなのでスカウトのメッセージはよく来るのですが、中村のメッセージは非常に真摯で、信頼できる印象を持ちました。実際に会ってみると、彼のキャリアやビジョンに共感でき、彼の熱意に引かれるものがありました。

私自身も少しは投資をしていたので、もっと使いやすい投資サービスがあればいいなと思っていました。また、ブルーモのミッションを別の側面で見ると「正しい投資を広める」というテーマがあり、それに強く共感しました。投資に関しては怪しい情報商材や詐欺まがいの情報が蔓延している中で、正しい情報を提供し、健全な投資文化を築きたいという思いがありました。

政治資金データベースのプロジェクトは非常に重要で続けたいと思っていますが、それは急がなくても大丈夫だと感じました。ブルーモのプロジェクトは今がチャンスだと思い、2年前にこのプロジェクトに全力を注ぐ決意をしました。

—【編集部】今、どんなコトを任されていますか?

—【小林】 現状では開発業務にかなりの時間を割いていますが、採用にも時間を使っています。ざっくりとした配分ですが、採用が約3割、開発が3~4割、インフラ関連の業務が2~3割、残りが事務的な作業やコミュニティ活動といった感じです。

具体的には、自分が担当しているチームのバックエンドの管理画面機能や審査、入出金などの機能開発とチームメンバーのコードレビューに時間を費やしています。また、最近はインフラ関連の課題が大きく、人手が足りないため、インフラについてのディスカッションに時間を割いています。

コミュニティ活動としては、Rubyなど弊社が採用している技術に関連する勉強会に参加したり、未踏事業の活動に参加しつつたまにスポンサーもしたり、LT(ライトニングトーク)を行ったりしています。これらの活動に1割程度の時間を使っています。

—【編集部】会社や事業のどんなところを魅力的に感じられていますか?

一つは、まず使いやすいアプリが本当にできつつあるということです。単純に投資アプリとして見ても、デザインは非常に素晴らしいものに仕上がっていると思います。アプリ側のリードエンジニアはUI/UXにこだわりを持ってしっかり実装してくれるので、その点も安心して任せています。新しいアプリがリリースされるたびに、自分自身もダウンロードしてみて、その美しさと使いやすさに感心しています。

機能面では、ポートフォリオ投資機能が特に魅力的です。これはありそうでなかった機能で、自分で銘柄を選び、少額で分散投資ができる点が大きな特徴です。例えば、以前はNVIDIAの株を1株買うのに株式分割前だと約20万円ほど必要でしたが、少額での分散投資が可能になったことは非常に有利です。

また、他の投資家の状況が見れるというのも大きなポイントです。Twitter(現:X)などで「自分のポートフォリオはこうだ」と発信している人たちもいますが、それが本当に正確な情報なのか、より詳細な部分がどうなっているかといった疑問を持つことがあります。その点、ブルーモでは実際の投資家の行動を見られるようにすることで、信頼性が高まります。

現在のブルーモアプリは、投資機能として必要最低限の要素を備えつつ、他の投資家の情報を参照できる点が非常に優れています。これにより、ユーザーは他の投資家の行動を参考にしながら、自分の投資戦略を立てることができます。ユーザーからも好評をいただいており、この点がブルーモアプリの大きな魅力だと思っています。

—【編集部】さて、ここで少し流れを変えて「20問20答」をさせてください。 私が質問を投げますので、考えずに、正直に、スグに答えてください。

Q1. 好きな漫画は?

A1. アニメーション要素のほうが強いですが、エヴァンゲリオンです。漫画ですと、ドラゴンボール、スラムダンク、ジョジョの奇妙な冒険、DEATH NOTEです。

Q2. 人情派? 理論派?

A2.理論派だと思いますが、友人関係ですと人情派です。

Q3. パン派ですか? ライス派ですか?

A3. どっちも好きです。

Q4. 都会が好きですか? 田舎が好きですか?

A4.どっちも好きですが、都会です。

Q5. 保守的? 革新的?

A5.エンジニアリングだと革新6割、保守4割。日常生活だと革新4割、保守6割という気がします。

Q6. 好きなミュージシャンは?

A6.L’Arc~en~Ciel、Janne Da Arc、Acid Black Cherry

Q7. これまでに仕事でやらかした一番の失敗は何ですか?

A7.結構昔の話ですが、開発しているサービスのデプロイをする時に、デプロイ作業の中のとあるステップの作業をすっぽかしてしまったことがあって、他のメンバーに非常に迷惑をかけたこと。

Q8. 犬派? 猫派?

A8. どっちも好きです。将来はどっちも飼いたいです。

Q9. 現実派? 夢見がち?

A9.両方の視点を持っていると思います。

Q10. 今、一番会いたい人は?

A10.祖父(故人)に会いたいです。

Q11. 仕事道具でこだわっているのは?

A11.キーボード、椅子、PC、ディスプレイですね。

Q12. どんな人と一緒に仕事したいですか?

A12.今のブルーモにいるメンバーのような人と働きたいです。自由と責任を持ってしっかり実行できる人、またオフにみんなで飲み会するときは、切り替えて楽しく過ごせるような人です。

Q13. 社会人になって一番心に残っている言葉は?

A13.終わり良ければ全てよし!

Q14. 休日の過ごし方は?

A14.友人と遊んだり、プチ旅行に行ったり、飲食店巡りですね。その他、予定がない時は仕事しています。

Q15. 好きな開発言語は何ですか?

A15. Ruby、C#、Python、Flutterです。

Q16. 仕事の中で一番燃える瞬間は?

A16.質問の趣旨とちょっとずれるかもしれませんが、インシデントが起きて、それをみんなで解決に向けて頑張って作業してちゃんと解決したとき。

Q17. 息抜き方法は?

A17. 旅行ですね。

Q18. 好きなサービスやアプリは?

A18.はてなブックマーク、YouTube、ABEMA、スピードメーターですね。

Q19. 学んでみたいことは?

A19.エンジニアリングで言えば、現在弊社で使用している技術の向上やAIですね。政治資金データベースのプロジェクトにも関わっていますが、政治というのは紐解いていくと非常に面白い世界だと感じています。選挙は人間ドラマそのもので、候補者のバックグラウンドや支援者の経緯を知ることで、選挙というコンテンツが非常に魅力的に映ります。こういった部分にももっと詳しくなりたいと思っています。

Q20. 最後に一言

A20.We’re hiring!

—【編集部】現在の会社で何を成したヒトと記憶されたいですか?

—【小林】 まずはブルーモというアプリをしっかりと世に出し広め、大きなサービスに育てていくことが一番の目標です。これは私一人で成し遂げるわけではなく、会社全体で取り組んだ結果だと思いますが、これを達成することが重要です。

また、エンジニアが働きたいと思える環境を作ることも私の仕事だと思っています。エンジニアが楽しみながらやりがいを持って働ける環境を提供し、そのような環境を作った人として記憶されたいですね。

—【編集部】最後に同様のキャリアを目指される方にアドバイスはありますか?

—【小林】 結局、「好きこそものの上手なれ」だと思います。ものづくりが楽しいとか、ものづくりが好きという気持ちがあれば、自然とCTOやエンジニアリングマネージャー、場合によっては自分でプロダクトを作って起業するなど、いろんなキャリアパスが開けてくると思います。

現代のエンジニアには多様なキャリアパスがありますが、根幹は「好きこそものの上手なれ」だと感じます。プロダクトを作るのが好き、プログラミングが好き、技術が好きという気持ちがあれば、自分でどんどん調べて手を動かし、気づいたら自分のスキルが向上していることが多いです。

私自身もそうでした。特にフリーランス時代に鉄道会社向けのアプリを作ったり、その後にビズリーチやエメラダに入ってしっかりとものを作り、ユーザーに価値を届ける経験を重ねました。プロジェクトを通じてユーザーからフィードバックをもらうことは大変ですが、とても面白いと感じます。そういった経験を積んだことで、今でもものづくりへの情熱を持ち続けています。


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<取材・撮影・文/平林宏城 企画・構成/大芝義信>

<提供/株式会社グロースウェル>

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