新しい視点と挑戦の重要性:GMOペパボ CTOが語るキャリア形成の秘訣

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氏名 栗林健太郎
肩書 GMOペパボ株式会社 取締役CTO
出生 1976年
略歴 東京都立大学法学部政治学科卒業後、奄美市役所に入職。2008年、ソフトウェアエンジニアに転じ、株式会社 はてなにWebアプリケーションエンジニアとして入社。2012年、株式会社paperboy&co.(現GMOペパボ株式 会社)に技術基盤整備エンジニアとして入社する。2014年以降はマネジメントを担い、技術責任者、執行役員を 経て、2017年に取締役CTOに就任。技術経営および新技術の研究開発・事業創出に取り組む。
日本CTO協会理事。情報処理安全確保支援士(登録番号:013258)。2020年より北陸先端科学技術大学院 大学博士後期課程に在学する社会人学生でもある。

—【編集部】これまでどんな事をされてきましたでしょうか。

—【栗林】 大学を卒業してからは、しばらくフリーターをしていました。卒業まで奨学金で生活していたこともあり、自分で働いてお金を稼ぐという実感がありませんでした。

しかし、家賃が払えないという現実に直面し、実家に戻らざるを得なくなりました。奄美大島は田舎なので、私のような頭でっかちで運動も苦手な人に合う仕事はあまり見つかりませんでした。結局、公務員しか選択肢がなく、 試験に合格して市役所で働くことになりました。

当時は働きながら趣味でプログラミングをしていて、自分の作ったものやオープンソースのプロジェクトについてブログに書いていました。そんな時、MSNメッセンジャーを通じて、スーパープログラマーとして名を馳せていた宮川 達彦さんから声をかけられました。それを機に、書籍に寄稿する機会をいただいて交流が始まりました。

はてなに入社するきっかけは、ネット上の友人で数年前に入社していた舘野さんから「一緒にやろう」と誘われたことでした。趣味のプログラミングを仕事にできるなら挑戦してみたいと思い、入社を決めました。約4年間、多くのプロジェクトに関わりました。はてなブックマークの新機能を開発したり、新しいサービスを作ったり。また、サイトの国際化プロジェクトにも参加しました。

—【編集部】現在の会社を入社した経緯をお聞かせください。

GMOペパボで技術責任者をしていた方のブログがきっかけでした。当時はWeb業界自体が今ほど成熟しておらず、エンジニアのキャリアパスも限られていました。エンジニアがキャリアを進めるにはマネージャーになるしかない状況で、独立した技術専門職やエンジニアリングマネージャーといった役割が整備されていなかったのです。

そんな中、先ほどのブログには「GMOペパボでは強いエンジニアを育て、彼らが出世できるような制度を作り、 サービスを効率的に展開するための横断的な組織を構築する」というビジョンが書かれていました。この考えに非常に共感し、「これだ!」と思い連絡をしました。

—【編集部】今、どんなコトを任されていますか?

—【栗林】 肩書きとしては、取締役CTO、CTO室室長、事業開発部部長、全社のセキュリティ責任者、そしてカスタマー サービス部門の管掌役員です。

さらに、ペパボ研究所の所長も務めています。それぞれの役割に対して具体的な割合を示すのは難しいですが、技術的な面は各事業部に事業部CTOを設けて委譲しています。

そのため、現在は新規事業開発に半分の時間を使い、残りの時間は、会社全体のオペレーションや先見的な取り組みに充てています。

—【編集部】会社や事業のどんなところを魅力的に感じられていますか?

私たちの事業は、一見するとさまざまなことをやっているように見えるかもしれませんが、実は一つのミッションに沿っています。それは、表現したい人やアウトプットをしたい人をテクノロジーで支援し、そのアウトプットを広げたり、大きくしたり、届けたりすることです。難しいことを簡単にし、誰もができるようにする、これが私たちの事業の核心だと思っています。

20年ほど前は、個人の力をネットで拡張し、さまざまな表現が可能になるという理念の会社が多くありましたが、 現在では超巨大なプラットフォームに集約されることが増えました。例えば、SNSは大規模なプラットフォームが主流で、独立したオルタナティブな表現のプラットフォームは少なくなっていますよね。

GMOペパボはその中で、表現を支援するという理念を貫く珍しいポジションにあると思います。

そして、クリエイターを支援するという理念を広い意味で捉えています。例えば、ECサイト構築サービス「カラーミーショップ byGMOペパボ」で物を売ることも、ある種のクリエイションだと考えます。商品を売ることは、単に物を売るだけではなく、その背後にあるコンテキストや自己表現を含むからです。

このように、さまざまなジャンルにおけるクリエイターを一貫して支援し続けることが、GMOペパボの事業の魅力であると考えています。

—【編集部】さて、ここで少し流れを変えて「20問20答」をさせてください。 私が質問を投げますので、考えずに、正直に、スグに答えてください。

Q1. 好きな漫画は?

A1. 志村貴子さんの『どうにかなる日々』

Q2. 人情派? 理論派?

A2.理論派だと思われていますが、実は人情派です。

Q3. パン派ですか? ライス派ですか?

A3. 完全にライス派です。

Q4. 都会が好きですか? 田舎が好きですか?

A4.都会派です。飲み屋街の近くが良いです。

Q5. 保守的? 革新的?

A5.仕事上では革新的ですが、生活上では保守的です。

Q6. 好きなミュージシャンは?

A6.XG最高!

Q7. これまでに仕事でやらかした一番の失敗は何ですか?

A7.全社で使用している基盤システムのSSL証明書を削除してサービスが停止してしまったこと。

Q8. 犬派? 猫派?

A8. 猫派です。

Q9. 現実派? 夢見がち?

A9.夢見がちですね。

Q10. 今、一番会いたい人は?

A10.Stray Kidsのフィリックスさん

Q11. 仕事道具でこだわっているのは?

A11.キーバインドを自分好みにカスタマイズできるソフトウェア

Q12. どんな人と一緒に仕事したいですか?

A12.どんなことも「やろうよ!」と言う人

Q13. 社会人になって一番心に残っている言葉は?

A13.CTOに就任したばかりのころ、エンジニアからの要望をそのまま経営会議で社長に伝えたときに、「要望をまとめるだけなら、ただのエンジニアの代表だ。CTOとしてどのようなビジョンがあり、何をやりたいのかを示してくれ」と言われたことは今でも心に残っています。

Q14. 休日の過ごし方は?

A14.本を読むか子供と遊んでいます。

Q15. 好きな開発言語は何ですか?

A15.Elixir

Q16. 仕事の中で一番燃える瞬間は?

A16.新しいことを考える時。サービスでも制度でも、コンセプトを決め、課題に対してそのコンセプトをもとに解決策を立てていくことが、一番楽しいです。

Q17. 息抜き方法は?

A17. 読書、プログラミング、ネットで遊ぶこと。

Q18. 好きなサービスやアプリは?

A18.Misskey。うちの会社でも使っていますが、OSSでXのような機能を持ったアプリです。いろいろな人が独自のサーバーを立ち上げて、繋がることができます。Misskeyは、思想や使いやすさにこだわって作られているところも好きです。私も社内のMisskeyでK-POPの好きな曲について毎日投稿していますが、スルーされています。たまに、反応があると嬉しいです(笑)。

Q19. 学んでみたいことは?

A19.楽器をやりたいです。

Q20. 最後に一言

A20.事業開発部の部長として、次の売り上げの柱になる新しい事業を作ることが私のミッションです。今年の3月に「GMO即レスAI」というサービスをリリースしました。これは、AIを活用して問い合わせに迅速に対応するサービスです。 最近では、動画配信に関するプロジェクトにも取り組んでいます。動画配信は、多くの人が興味を持っている表現手段ですが、技術的なハードルが高いと感じています。例えば、OBSやカメラの設定などが難しく、簡単に始めることができません。そこで、普通の人が簡単に配信できるようハードルを下げていきたいと考えています。 その他にも現在、並行して複数の新しいサービスを開発しています。リリースした際は、このインタビューを読んでいるみなさんにも、ぜひ使っていただきたいです。

—【編集部】現在の会社で何を成したヒトと記憶されたいですか?

—【栗林】 これまでは、会社を技術面で組織を支え、各事業が成長するためにテクノロジーやエンジニアリングの分野でさまざまな取り組みを行ってきました。これからは、新規事業開発を成功させて「あの人はこのサービスを作ったよね」と言われるような存在になりたいと考えています。

—【編集部】最後に同様のキャリアを目指される方にアドバイスはありますか?

—【栗林】 とにかく、視野を広げて視座を上げて、繰り返しチャレンジしていくことが大切です。視野を広げるためには、新しい知識を入れることや、さまざまな人と会うことが必要です。視座を上げるためには、自分より優れた人、経験豊富な人、自分より上のポジションにいる人から薫陶を受けることが重要です。そういうことをしないと、自分の中だけで「気づく」のは難しいと思います。

これは、資格試験や単純な積み上げの話ではなく、非連続的な成長が求められる領域です。そのため、異なる視点や経験を持つ人との交流が重要です。今まで付き合ったことのないような人たちと積極的に付き合い、現在のポジションにいる人たちだけでなく、その上の執行役員や経営層とも話をしてみてください。


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<取材・撮影・文/平林宏城 企画・構成/大芝義信>

<提供/株式会社グロースウェル>

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